あなたを愛し、わたしを愛する~日々の備忘録~

ロリショタを慈しみながら日々のことも徒然に書いてこうと思います。

せすピンを読んで男女の関係性について思ったこと

 

ある漫画シリーズを大人買いしていた。

 

これ⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎

 

週刊少年ジャンプで2015年~2017年まで連載されていた横田卓馬作「背すじをピン!と鹿高競技ダンス部へようこそ

 

タイトルの通り競技ダンス部に入部した主人公たちが競技ダンスを通して青春する話だ。

 

 

少し前に買った作品だけど、改めてこの漫画を読んでいて、意外だな、でも素敵だなと思ったところがあったのでそこを書き留めようと思う。

 

男女の関係は恋愛だけじゃない

 

この漫画は競技ダンス、つまり社交ダンスをテーマにしているので何組かの男女カップルが登場する。ダンスにおけるカップルは必ずしも恋人同士を意味するのではなく、単に男女一組を意味する。※以下「カップル」はダンスにおける男女一組のことを意味することにする。

 

どのカップルごとにそれぞれの魅力、関係性があり、多彩なカップルを見れるのもこの漫画のよいところであるのだが、私が好きなのは主人公の先輩にあたる八巻章・椿秋子組である。

 

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この2人は高校生からの競技ダンス歴にはなるものの、*1運動神経とセンスの良さで実力を伸ばしつつあるというキャラクターである。

 

ダンスの相性は抜群だが、口喧嘩をしょっちゅうしている。

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こんな感じ

 

 当初この2人の関係性を見た時、「アッこれ知ってる…ケンカップってやつや…」と思った。

好きなんだけど、お互い素直になれず喧嘩してしまう…というアレである。

 

この2人は喧嘩はしつつも何だかんだ一緒にいて仲の良い描写は多かったし、ストーリー終盤では恋愛関係になるやろと思っていた。漫画の世界でも他のキャラクターから「痴話喧嘩」だの「2人は付き合ってる?」だのそんな感じの描写はあった。

 

(いいんですか?秋子先輩のこと…)

いいんだよ

俺と秋子はそういうんじゃねェ  (55話より)

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それが明確に否定されたのは9巻76話「喧嘩腰」だ。

ダンスの競技会の最中、ある事が原因で2人は試合前に言い争いをしたこともあり、ダンスを踊りながらもお互い喧嘩腰の様子だった。


しかし、踊っていくうちに2人のパフォーマンスは精度を増していく。

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喧嘩しながらも彼らはお互いの実力を認めている。そして互いが相手とならば高みに行けると信じている。そんな彼らはお互いを「ライバル」だとハッキリ自覚する。

 

(秋子)考え方が合わない…!なんか目つきも変だしとにかくムカつく…!

 (中略)

(秋子・章)でも それでもいい!!

(章)認めんのはシャクだがそう言わざるを得ねェ…!こいつは俺の…!

(秋子)こいつはあたしの…!

(秋子・章)ライバルだ…!!  (76話より)

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これを見た時、めちゃくちゃかっこいいと思った。男女でもこういう関係性が生まれるのだと。性格の相性は合わないけど、互いの力量を圧倒的に信頼しているからこそ出る言葉なのだろうと思う。すごく好きなシーンだ。

 

 

高校卒業後、二人はプロのダンサーとして一緒にやっていた。2人の会話で、章には新しい彼女ができたが、1カ月足らずで別れてしまったことが語られている。また、その彼女からは「ダンス(あの子)の方が大事でしょ?」と言われて振られたことが分かっている。

ここまで描かれていても、きっと章と秋子が恋人同士になることはないだろう。二人は、お互いには互いしかいないという関係を続けながらもそうなることはないんじゃないかと思っている。いや、寧ろそう願っているのかもしれない。

 

作品としては安易に「ケンカップル」としての2人を描くことができたわけだが、敢えてそんな関係性にしなかったところが、私はすごく素敵だと思った。 

男女の組み合わせを見た時、すぐ恋人同士かな?とか下世話な事を思う自分が恥ずかしいと思う。

男女の関係性は恋人だけじゃない。こんなカッコいいふたりにもなれるんだ。そんなことを思わせてくれる素敵な作品でした。

 

*1:競技ダンスは競技人口が少なく幼い頃からずっとやっているという人が多い