私は8月の夏生まれだが、夏は得意ではない。
暑いのもムシムシとした空気も苦手だし、洋服も夏服より冬服の方が好みだ。
というわけで夏はもっぱらクーラーのよく効いた室内でのんびり過ごすのが好きなのだ。
昨日8月1日、関東地方で長かった梅雨が明けた。雨が降り、涼しいとも思えた時間は去り、暑い夏が始まってしまうのかと憂鬱だったけれど、洗濯物を干しにベランダに出た時、久々の青い空に「晴れてる…」と間抜けな一言を漏らしてしまい、ちょっと気分が晴れやかだったのも事実だ。
今日8月2日も天気は晴れ。最高気温32度。日差しが強く、暑く、おまけにマスクで顔面むわむわで嫌だなとか思いつつ外へ出た。
友達と出かけて、遊んで、ご飯を食べ、帰るころにはすっかり暗くなってしまっていた。
お昼の暑さもすっかり鳴りをひそめ、心地よい風が吹いていた。
おなかいっぱいになった身体で、夜の道を駅まで友達となんともない話をしながらぶらぶら歩く。そこで初めて「夏の夜ってええなぁ…」としみじみとした気分になった。
涼しくて楽しくてなんかいい気分。ふと気づいた。
おや…?今の私、清少納言じゃね…?????
彼女は綴った。曰く
夏は夜。月のころはさらなり。闇もなほ、ほたるの多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。
私が感じたこととはちょっと違うがともかく千年も昔の清少納言も「夏は夜がええんだよ」と言ったのだ。なんだかその気持ちがふと分かったような気がしてちょっとふふふん、という気持ちになった。
この「夏は夜」という一言にすべてが集約されているからすごい。中高生の時は「枕草子」の魅力があまり分からなかったが、久々にこの有名な箇所を読み返すとことばの美しさとエモさに卒倒しそうになった(語彙力ェ…)
エモいことに空を見上げると月がまあるい。
ビルや家々の電灯の光で月明りの美しさは分からないけれども、夏の夜の「をかし」は今でも分かる。
夏は夜、なのだ。
おわり